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胆嚢結石症

胆嚢結石症(たんのうけっせきしょう) 傷口が目立たない手術方法 質問箱

質問箱

 胆汁という一種の消化液が肝臓でつくられ、胆管を通って十二指腸に放出されます。胆汁が肝臓から分泌される量は1日あたり 500〜800mlになります。胆汁は、胆汁酸やビリルビン、コレステロールが含まれていますがその 90%は水分で構成されています。胆嚢内で 6〜12倍に濃縮されます。消化酵素は含まれていませんが、十二指腸で膵液と一緒になることで、胆汁が膵液の持つ消化酵素を活発にして、脂肪やタンパク質を分解して腸から吸収しやすくします。

 この胆汁によって、時に、「胆石」という石ができてしまうことがあるのです。この石は、胆汁が濃縮される胆嚢に一番よくできます(胆嚢結石) 。しかし、時には胆管のいろいろな場所にできてしまうこともあります(胆管結石) 。

 胆嚢にできる結石は、コレステロール結石という白っぽい丸みをおびた石であることが多く、ときには何十個も一度に出てくることもあります。胆管結石はビリルビン結石という黒っぽいものが多く、一個でも激しい症状を引き起こすことがあります。

● どんなときに気づくの?

(1) 突然の激しい上腹部痛(疝痛発作)で気づく(急性症状)

 何の前触れもなく、突然激しい上腹部痛に襲われます。ただし、よく聞いてみると、暴飲暴食や過労が引き金になっていたり、いままでも上腹部(胃)の調子が悪かったということがあります。

(2) 以前から何となくお腹(上腹部)の調子が悪いというので気づく(慢性症状)

 なんとなくお腹の調子が悪い(本人は「胃が悪い」と感じている場合があります)、特に食後、主に脂っこいものをたべた後などに上腹部痛や吐き気、食欲不振があるのでお医者さんにかかって発見されるということも少なくありません。

● どうしたらいいの?

 疝痛発作(せんつうほっさ)のような激しい症状は、ともかく痛みを抑えなければなりません。鎮痛剤や胆嚢の緊張をゆるめる薬剤(ブスコパン)を用います。それに多くの場合細菌感染が起こっていることが多いので抗生物質なども用いられます。
しかし、これでとりあえず痛みは治まったとしても、根本的な原因である胆石はなくなるわけではありませんから、いつ再発するかわかりません。
放っておくと疝痛発作が再発したり、不快症状がしつこく続いたり、場合によるとガンの危険が増すといった危険を伴います。石をなくすという根本的な治療に踏み切るかどうかは、医学的な状況判断をお医者さんからよく聞いて、患者さんが決断しなければいけません。

● 検査と診断は?

 痛みの状況、起こった経過、たとえば食事、飲酒、過労など関係があると思われる事柄、今までにも上腹部の不快感を感じたことがなかったか、などをお医者さんによくお話し下さい。腹部超音波検査を行います。超音波検査は患者さんに負担にならず、胆嚢の状態や結石を直接みることができます。その他、X線撮影、血液の検査、場合によるとX線断層撮影(CT)などが行われることもあります。ただし、このような上腹部の症状は、胃炎とか胃・十二指腸潰瘍、あるいは初期の胃癌などと区別しなければなりません。自分で「胆石!」と決めつけず、よくかかりつけのお医者さんと相談してください。

● どんな治療法があるの?

(1) 手術

 石のある胆嚢をまるごと切除してしまうのが根治手段です。
胆嚢の機能が落ちたために石ができるので、これが唯一根治的な治療法といえます。通常、お腹に4ヵ所の小さな穴をあけて、腹腔鏡を用いて胆嚢を切除する「腹腔鏡下胆嚢摘出術」が行われています。患者さんの負担は軽くなりますが、開腹手術とどちらがより適しているかは、医学的な判断が必要ですのでお医者さんとご相談下さい。

(2) 内服薬

 胆汁の分泌量を増やしたり、その性質を変化させて石をとかしてしまうという狙いの薬剤(ウルソ)が開発されています。ただし、再発予防のために薬を長期間飲み続けなければいけなかったり、大きな石や石の数が多い場合は手に負えないこともありますので、病状と照らし合わせて、お医者さんとよく相談して下さい。

(3) 衝撃波

 結石の粉砕除去を目的として体外衝撃波を用いる方法です。腎結石治療が一般的で、条件としてコレステロール結石(2cm以下、3個以内)、胆嚢機能が良好であることがあげられます。治療後に溶解剤を内服する必要があります。

しかし、胆石の原因は胆嚢の機能低下であるため、(2)や(3)による根本治療は難しいと思われます。

● 石があるのに症状がない「無症候性胆石」 はどうするの?

 超音波検査などで、胆嚢に石が見えるのに本人には全く症状がない、という例が決して珍しくありません。

 石の数が少なければそのまま経過をみていくこともあります。しかし、いつ症状を引き起こすかわかりませんし、石の刺激で胆嚢の壁が厚くなってきたり、癌が出てきたりという危険もないとはいえませんので、超音波検査などで定期的に検査観察を続けていかなければいけません。

● 胆嚢を切除しても日常生活に問題はないの?

 胆嚢は胆汁の貯蔵する場ですが、生きていく上で絶対に必要なものではありません。胆嚢がなくなった場合は、肝臓自らが、食事に応じて胆汁を出しますので、特に問題はありません。

 胆嚢を切除すると、一次的に消化不良や下痢を起こすことがありますが、医師の指示に従って整腸剤を服用したり、食事に気を付ければ、日常生活に支障はきたしません。

● 「胆管結石」はどうしたらいいの?

 胆管結石は、胆嚢結石よりも激しく重い症状を引き起こす場合が少なくありません。細い胆管に石が詰まってしまうので、胆汁の流れが阻害されたり、胆管が石を排出しようとして激しい痛みを起こしたりします。また、胆汁の流れが阻害されると、肝臓にまで影響がおよぶこともあります。

 緊急の場合には、内視鏡で鉗子という細い器具を胆管に送り込んで石をつまみ出すといった処置が行われます。

● 胆石症と胆嚢癌は関係はあるの?

 胆嚢結石症で胆嚢癌の合併率は 1〜1.5%と言われています。しかし 60歳以上では 8.8%と高くなります。胆石の存在により癌発生頻度が有意に増加するという報告はありませんが、胆嚢癌の危険因子は、3cm以上の胆嚢結石、ご家族に胆嚢癌になった方がおられること、長期にわたる胆嚢炎をわずらっていることなどとも言われています。いずれにせよ、取った胆嚢にガンがないかどうかを病理組織検査で調べます。ガンがない場合は治療終了となりますが、ガンが認められた場合は追加で手術が必要になることもあります。

● おわりに

 胆石症の診断や治療は、最近大変進歩しました。悩みを抱えている方は、積極的にお医者さんに相談してみることをお勧めします。いろいろな解決法、悩みの軽減法がみつかると思います。


福岡輝栄会病院 外科部長 山本純也