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2024/06/10

膝の痛みの原因と解決法:変形性膝関節症の全貌

わが国の総人口12,500万人のうち、変形性膝関節症の患者数は2,500万人に及び、そのうち要治療者は700万人、男女比は概ね1:4で女性が多いと言われています。膝関節痛をきたす患者には病態としての関節水腫(水がたまる)、半月板損傷、膝内障(靭帯や軟骨の損傷)、関節炎(関節リウマチや痛風・偽痛風)などがありますが、中高年になって膝が痛む病気の中で最も多いのがこの変形性膝関節症です。

関節は骨と骨がつぎ合わさった部分で、その関節の動きをスムーズにしたり外的衝撃を和らげクッションの役割をしているのが軟骨と半月板です。関節液が分泌され、潤滑油の役割をする事によってさらに滑らかに動けるようにしています。右のシャシノンのように変形性膝関節症のないレントゲンには、軟骨と半月板が何も写らない”スキマ”として見てはっきりと見てとれます。

 

変形性膝関節症ってどんな病気?

膝関節の滑らかな動きやクッションの役割をしている軟骨や半月板が加齢や肥満で関節機能が低下したり酷使したりすると骨と骨の感覚が減り、やがては骨同士が直接ぶつかるようになって膝に痛みを生じます。特に年齢を重ねると膝関節を守る筋肉が衰える為変形性膝関節症になりやすくなります。また、日本人の脚は90%が内側型、いわゆる「O脚」のため、痛みは膝の内側に生じます。軟骨摩耗が少ない3ヶ月程度の初期は疼痛の改善はしやすいですが、軟骨は一旦摩耗すると血流がない為再生しません。さらに軟骨が完全に摩耗する段階まで進むと骨性に接触し疼痛の改善もありません。膝の間に拳が一つ入るともはや軟膏つはほぼ消失しています。

どんな治療法があるの?

その1:手術をしない治療法

関節注射『ヒアルロン酸注射』のご紹介

 ヒアルロン酸ナトリウムの関節注射は広く行われている関節痛の治療法のひとつです。分子量の違いによって数種類ありますが、膝の動きを滑らかにし軟骨を保護します。1~2週間間隔で5回、さらに維持療法として2週~1ヶ月間隔で継続します。但し、ヒアルロン酸を関節注射しても軟骨は再生しません。軟骨の損傷を補修して変形性膝関節症の進行を抑える動きが期待できます。したがって、飲むヒアルロン酸とは違います。

 関節注射にはステロイドもありますが、炎症の強い時や急激な関節水腫や関節リウマチ、痛風・偽痛風などにはかなり高い除痛効果が期待できます。但し、打ち過ぎると壊死する場合がありますので注意が必要です。

 

その2:手術療法

関節鏡手術

関節鏡手術は膝関節に内視鏡を挿入し、損傷した患部を修復したり遊離した不要なものを摘出します。手術のために切開する事なく2~3か所の小さな穴を開けるのみでモニターを見ながら手術します。低侵襲な術法で患者さんの負担も随分と軽減されます。

 

矯正骨切り術(高位脛骨骨切り術)

「O脚」変形のため膝関節の外側は正常ですが、荷重が内側に集中する事によって生じた膝関節の変形を矯正する術法です。「骨切り術」という言い方はある種ショッキングなイメージもありますが、実は昔からある手術法で手術後も正座ができるなど、日常生活はご自分の関節で過ごせるわけです。あくまでも状態によって術法は決定されますが、一般的には70歳くらいまでの患者さんに適応できるものと考えます。

 

人口膝関節顆置換術

人口膝関節顆置換術は内側か外側の関節がどちらかがすり減った場合、すり減った方に人口の関節を挿入する従方です。70歳以上の軽症から中等度の関節症にこの術法は適します。術後は可動域も良好で正座に近く膝の曲がりの良い状態が得られます。

 

人口膝関節全置換術

人口膝関節全置換術は末期の変形性膝関節症や「O脚」や「X脚」が目立つ関節症、両側型関節症、関節リウマチの手術に適用されます。金属やセラミックなどの人工膝関節に置き換える手術で痛みは解消され、歩行度合いや日常動作がかなりできるようになります。退院後ケアのこともあり専門医によく相談されることをお勧めします。

 

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