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2024/08/06

糖尿病の現状と生活習慣改善の重要性

糖尿病について

今や国民病とも言われる糖尿病の患者は1,000万人、「糖尿病の可能性を否定できない」予備群1,000万人を合わせると、全国に2,000万人いると推定されています(平成28年国民健康・栄養調査、厚生労働省)。しかしながら、戦後間もない1950年頃には全国でわずか30万人しかいなかったそうです。この半世紀あまりの間に約30倍に膨れあがった理由がとても大事です。

 

50年前を振り返ってみてください。日本が高度経済成長時代の真っ只中であり、コンビニエンスストアやファミリーレストラン、ファストフード店が建てられ始めたのもこの時期です。その後、食生活の欧米化や過食を背景として肥満になる方の人口が徐々に増加し、一方で急速な近代化に伴い自家用車の保有台数も右肩上がりに増加しました。

この過食による体脂肪量(特に内臓脂肪量)の増加は、運動不足にともなう骨格筋量の減少と相まって、せっかく膵臓から分泌された血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きを邪魔して血糖値が下がらずに糖尿病になってしまうのが現在の爆発的増加の理由です。ほとんどの糖尿病の患者さんのインスリンは正常に分泌されています。膵臓が悪いわけでも何でもありません。この50年の激烈な社会環境の変化を今一度見つめ直して、ゆがんだ生活習慣があればそれを是正することが糖尿病発症の予防にもつながり糖尿病治療の根幹でもあります。

 

糖尿病は放置すれば重篤な合併症を引き起こし、生活の質を低下させ生命の危険に至る可能性を秘めた恐ろしい病気でもあります。糖尿病網膜症により約3,000人/年が失明し、糖尿病性壊疽により約3,000人/年が下肢切断を余儀なくされています。血液透析の原因疾患として糖尿病腎症は1998年以降No.1の座を譲っておらず、約16,000人/年が糖尿病を原因として新たに透析導入となっております。このような合併症が重症化するずっと前の段階から、早期に介入し適正な治療を施すことが何より大切です。そのためには糖尿病に対する正しい知識と理解を促すべく、患者さんに寄り添い生活習慣などを指導することが重要な課題となります。

 

循環型糖尿病医療連携について

当センターでは糖尿病合併症の重症化予防を目的として、『循環型糖尿病地域医療連携』システムの構築を進めております。

●定期受診はかかりつけの先生方のクリニックに通院して頂きます。

6ヶ月に1回程度当センターに外来受診していただき、血糖コントロールや合併症の評価、治療方針の再確認、療養指導(食事・運動指導など)を行います。

●かかりつけ医と糖尿病専門医の二人主治医体制により、きめの細かい糖尿病診療が可能となります。

●治療が中断されないことにより、健康寿命の延伸に貢献できます。

●医療連携のやりとりは糖尿病連携手帳、その他(パスシートや療養指導サマリーなど)を用いて行います。

福岡市東区が糖尿病地域医療連携のモデル地区となり、質の高い医療を提供できることを目標にしております。

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