2025/03/17
放射線科だより:MRI検査の画像を作るしくみは?
MRI検査の画像を作るしくみ
前回は「ヒトの体に最も多く存在する水分子を構成している水素原子( H = プロトン)の動きを利用して画像にする」と言うところまでのお話でした。
水素原子は自然な状態では、それぞれいろんな方向を向いていて向きがバラバラです。
MRI装置は撮像をしてなくても常に強い磁力(静磁場)が働いています。その磁力の向きと方向は一定で、“1.5テスラMRI ”とか“3テスラMRI ”と言われるテスラ(T)が磁力の強さを表しています。
どのくらいの強さかと言うと1T(テスラ)=10,000G(ガウス)です。
通常よく見られる磁石(フェライト磁石)で約1,000GですのでMRIはその何百倍レベルの磁力を利用した装置になります。
MRI装置のトンネルの中に入ると、バラバラの向きであった陽子が一斉に同じ方向を向きます。
陽子の向きが揃った所で準備完了です。
ラジオの電波と同じ周波数の電磁波(ラジオ波:RF波 )を体に照射すると陽子が反応し、回転軸方向を倒したい向き、角度に倒すことができるようになります。この倒した状態ではエネルギーがすごく溜まっていてこの状態を励起状態と言います。
ラジオ波の照射をやめると元の方向(静磁場方向)に戻っていきます。この時MRIの信号を
出しながら戻っていきますが、陽子が戻る時間は組織(骨や水、脂肪、がん細胞など)で違っていて、戻る時間の差が組織の違いとしてMRIの画像となります。
今回はここまでです。
また次号で続きをお話しします