消化器内科
診療内容
消化器内科では、嘔吐や腹痛、便秘などの日常で直面しやすい症状に対しての診療を中心に行いながら、その他下記のような対象疾患に対して専門的な検査や治療を心がけています。
患者様へは病状などに応じて検査、投薬や入院による精査・治療をご提案させていただきます。また必要と判断した場合には、より高度医療機関と素早く連携して紹介や転院をご案内させていただきます。
月-土曜日午前に専門外来を開設しており、内視鏡検査においては午前は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)、午後は下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ検査)を行っています。内視鏡検査は、基本的に一度外来受診していただき、次回検査となりますが、患者様の状態や緊急度に応じて担当医の判断により当日検査を行わせていただく場合もあります。
なお、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ検査)には富士フイルム社のAI技術を活用した内視鏡画像診断支援システム「CAD EYE」を導入しており、より見落としの少ない確実な診断が可能となっています。
富士フイルム社 内視鏡画像診断支援システム「CAD EYE」についてはこちら
また、夜間/休日の時間外についてはオンコール体制を敷いており、緊急性を伴う消化器疾患(消化管出血、急性腹症など)に対して24時間対応しています。
取り扱っている主な疾病
- 消化管腫瘍(良/悪性、食道/胃/大腸)
- 消化性潰瘍(胃/十二指腸)
- 消化管出血(吐血/下血)
- 消化管粘膜下腫瘍
- 逆流性食道炎
- ヘリコバクター・ピロリ胃炎
- 機能性ディスペプシア
- 過敏性腸症候群
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎/Crohn病)
- 大腸ポリープ
- 感染性胃腸炎/急性胃腸炎
- 虚血性腸炎
- 大腸憩室炎/憩室出血
当科の特徴的な検査内容
内視鏡検査
当院では富士フイルム社のレーザー光源搭載新世代内視鏡システム「LASEREO7000システム」を導入しています。波長の異なる「白色光観察用レーザー」と「狭帯域光観察用レーザー」の2種類のレーザーを搭載し、「狭帯域光観察用レーザー」を照射して粘膜表層の微細な血管や粘膜の模様を強調して表示する「Blue LASER Imaging(BLI)機能」により、観察範囲における微細な血管や凹凸などのコントラストを強調したシャープな画像を映し出すことが可能です。
また2つのレーザー光の発光強度比をコントロールすることで近接・拡大観察に適した「BLIモード」や、赤色領域の色分離が良くなるように彩度差・色相差を拡張する画像処理を行い、粘膜のわずかな色の違いを強調し内視鏡診断をサポートする「LCI (Linked Color Imaging)モード」という観察タイプを切り替えることが可能であり、目的に応じて適切なモードへ切り替えて精密な観察を行い、病変の発見や適切な治療に繋げることができます。
なお、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ検査)には富士フイルム社のAI技術を活用した内視鏡画像診断支援システム「CAD EYE」を導入しており、より見落としの少ない確実な診断が可能となっています。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)
口(場合により鼻)から内視鏡を挿入し、咽頭-食道-胃-十二指腸にかけて観察していく検査です。
当院では、一般でよく使用される通常の内視鏡のおよそ半分の太さである極細径内視鏡(EG – L580NW7;先端部外径5.8mm)を用いて検査を行います。
ご希望があれば鎮静剤を併用しながらの検査も可能であり、患者様へ最小限の負担での検査を心がけています。
ただし、精密検査など必要に応じて拡大内視鏡(EG –L600ZW7;先端部外径9.9mm)を用いて検査を行う場合もあります。
下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ検査)
肛門から内視鏡を挿入し、小腸の一部(回腸末端)から大腸全体を観察していく検査です。事前に下剤を内服していただき腸管内の便を十分に排出する必要があります。
当院では2021年9月より富士フイルム社のAI技術を活用した内視鏡画像診断支援システム「CAD EYE」を導入し、検査時にリアルタイムで大腸腫瘍の検出/診断を行っています。
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CT Colonography(大腸3D-CT検査); CTC
マルチスライスCTを用いた大腸の三次元的診断のことです。腹部CT画像から大腸を抽出し、断層画像を再構成することで3D画像や仮想内視鏡画像を作成します。実際の内視鏡に近い画像を3D展開することにより、がんやポリープなどの病変の描出が可能となります。
主に大腸狭窄や癒着などにより下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ検査)が困難な症例や大腸癌の術前検査として用いられ、実際の内視鏡検査画像と組み合わせて検討することでより正確な評価を行うことが可能です。
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内視鏡治療
コールドスネアポリペクトミー(Cold Snare Polypectomy:CSP)
小さなポリープを専用スネア(輪状の細いワイヤー)で絞扼し、そのまま切除します。
一般的に大きさが5mmから10mm未満の非有茎性ポリープでかつBLI/色素拡大内視鏡診断にて低異型度と診断したものが適応とされています。
電流を通さずに非通電で切除する方法のため、心臓ペースメーカー装着されている方や体内に金属製ステントなどが留置されている方にも簡便かつ安全に切除することができます。
当院においては日帰りでの処置が可能です。
内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection:EMR)
5mm以上のポリープや5mm以下の扁平〜陥凹型ポリープに対し、病変直下に生理食塩水やグリセオールを局所注射することで病変と筋層の物理的距離を取った上で専用スネアを用いて病変を絞扼し、高周波電流を通電して切除します。
一般的に6mm以上のポリープや5mm以下の扁平〜陥凹型ポリープが適応とされています。
通電が必要な処置のため、心臓ペースメーカーなど体内に金属を留置している方には事前に適切な対応が必要な場合があります。
通常1泊2日入院での処置となります。
内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic submucosal dissection: ESD)
適応条件に適った早期胃癌病変(「潰瘍のない、あるいは3cm以下で潰瘍を有する分化型粘膜内がん」等)に対して病変範囲を同定した上で専用処置具(Clutch CutterやIT knife、その他先端系デバイス)を用いて粘膜下層を剥離して病変を一括切除する方法です。
手技的な難易度はEMRよりも上ですが一括切除率が高く、再発率も低く抑えられます。
術後経過にもよりますが、通常9日間の入院期間となります。
※また、上記治療においては必要に応じて内服薬の一時休止が必要となる場合があります。
詳細は必要時担当医へお問い合わせください。
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