2024/07/01
核医学検査の効果と安全性:心臓・脳・肺の診断
はじめに
核医学(かくいがく)検査をご存じでしょうか。
核医学検査は極微量の放射性同位元素(放射線を出す物質:別名ラジオアイソトープ)を注射または内服して、体の内部を調べる検査です。体の内部に取り込まれて、そこから出てくる放射線を撮像します。検査に痛みは伴いませんし、放射線被曝に関しては薬剤の半減期(放射線が半分になる時間)と腎臓や肝臓で代謝され体外に排泄されるため、体内からは数日以内になくなってしまいます。
CTやMRI検査は「形態」を詳しく調べる検査ですが、核医学検査は臓器の「機能」を詳しく調べる検査です。
核医学検査によって、全身の様々な臓器の検査が可能です。そのいくつくかを紹介します。
心臓の検査について
狭心症や心筋梗塞を調べる検査です。この検査によって血管を広げる治療やバイパス手術が必要かどうかを判断します。下の図は治療前の心筋核医学検査で心筋血流が低下しており、狭心症の診断になります。
脳の検査について
脳血流検査では脳血管が狭くなって、脳梗塞を起こしやすい状態にないかどうかを調べています。また、認知症の診断にもよく使われます。
脳の血管が細くなったり、塞がったりしていた場合は、その部位の脳血流が実際に低下しているかどうかを調べて、血管手術が必要かどうかを決める参考にします。また、手術後の治療効果を見たりします。
認知症の検査では、それが脳血管障害によるものか、アルツハイマー型やその他の認知症かどうかが血流以上のパターンから分かるようになってきました
上の画像は脳内の後部帯状回の血流が低下しているのでアルツハイマー型と診断されました。
また、パーキンソン病の診断ができる検査も可能になりました。薬剤の副作用によるパーキンソン症状と区別することができ、とても有用です。
肺塞栓症・深部静脈血栓症検査について
地震で車中泊した避難者が肺塞栓症で死亡したことや、スポーツ選手などが飛行機での移動の際に起こした肺塞栓症は有名な話しです。
深部静脈血栓症(足の静脈の血液の流れが悪くなり、血栓ができ足が腫れる病気)が肺塞栓症の原因の7割~8割と言われています。
下の図は肺塞栓症の画像です。
その他の検査について