胃ガン
Stomach Cancer

胃腫瘍とは?

胃腫瘍には良性である胃ポリープ・平滑筋腫・GIST(平滑筋原性腫瘍)・脂肪腫や、悪性である胃ガン・胃カルチノイド・胃悪性リンパ腫・胃平滑筋肉腫などがあります。

なぜ手術をするの?

悪性の腫瘍ができた場合、悪いところを含めて大きく胃を切り取る必要があります。
将来の再発を防ぐ意味で非常に大切なことです。また、転移したリンパ節を確実に除去できれば、手術後の生存率が高くなります。

胃

胃ガンの発生は粘膜から!

胃
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胃ガンの進行

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胃ガンの転移

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術前検査

  1. 血液検査・腫瘍マーカー
  2. 胃カメラ
  3. 胃透視
  4. 腹部エコー
  5. 腹部CT
  6. 胸部・腹部レントゲン検査
  7. 心電図・呼吸機能検査
胃
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胃ガンの進行度・部位により治療法はいろいろ

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腹腔鏡下胃切除術

  1. 腹腔鏡下手術は、手術器具の進化・手術技術の進歩により、現在では標準的な手術法です。
  2. 腹腔鏡下手術はキズが目立たず美容的で、術後疼痛の少ない手術法です。
  3. 入院期間が短く、費用面・精神面・生活面での負担が少ない手術法です。
胃
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手術後は・・・

  1. 手術後の食事は4日目頃から始め、最初は白湯(さゆ)や流動食から始めます。
  2. 手術の前に比べると胃が1/3になっているため、1回に食べられる量が少なくなります。
  3. そのため1日の食事量を 5~6回に分けてとることになります。これに慣れるまで少し時間がかかります。
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術後合併症は・・・

これらの合併症は、通常術後2週間以内におこります。
2週間経過した時点で、これらの合併症が無ければ、それ以後に新たに発生する危険性はほとんどありません。

  1. 出血
  2. 縫合不全(つなぎ目がふさがらず、再び漏れを起こすこと)
  3. 感染(肺炎、創感染、腹腔内膿瘍)
  4. 梗塞(脳梗塞、心筋梗塞、肺梗塞)
  5. 腸閉塞(腸の癒着やねじれで、通過障害が起こること)
  6. 術後せん妄(幻覚や妄想、興奮などの一時的な精神症状)

胃ガンの進行度(ステージ分類)

ガンの浸潤の度合い(ガンの深さ)とリンパ節転移、遠隔臓器への転移状況で決まり、これら3要素を組み合わせてIA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IIIC、IVの8段階に分類されます。

胃ガンの深達度 (T因子)

T1a(M) 粘膜内にとどまり、粘膜下層に及んでいない
T1b(SM) 粘膜下層に浸潤する腫瘍
T2(MP) 固有筋層に浸潤する腫瘍
T3(SS) 固有筋層をこえ浸潤しているが、漿膜内にとどまっている
T4a(SE) 漿膜表面に露出している
T4b(SI) ガンが直接他臓器に浸潤している

胃ガンのリンパ節転移 (N因子)

N0 領域リンパ節に転移を認めない
N1 領域リンパ節の転移個数が1~2個
N2 領域リンパ節の転移個数が3~6個
N3 領域リンパ節の転移個数が7個以上

胃ガンの遠隔転移 (M因子)

M0 領域リンパ節以外の転移が無い
M1 領域リンパ節以外の転移が有る
MX 領域リンパ節以外の転移の有無が不明

胃ガンの進行度(ステージ分類)

  N0 N1 N2 N3
T1a(M),T1b(SM) IA IB IIA IIB
T2(MP) IB IIA IIB IIIA
T3(SS) IIA IIB IIIA IIIB
T4a(SE) IIB IIIA IIIB IIIC
T4b(SI) IIIB IIIB IIIC IIIC
M1(T,Nに関係なく) IV

<胃癌取扱い規約第14版>

胃ガンのステージ別 5年生存率

ステージ 5年生存率
IA 93.4%
IB 87.0%
II 63.8%
IIIA 50.1%
IIIB 30.8%
IV 16.6%

<日本胃癌学会 1991年度症例 2004年発表>

5年生存率とは、5年間再発しないということではなく、(状態はともかく)治療開始から5年後に生存している人の割合です。早期胃ガンといわれるステージⅠ期の5年生存率は90%ですが、病期が進行するとともに5年生存率は徐々に下がります。

胃ガンの化学療法

胃ガンに対する化学療法はフルオロウラシル(5-FU)、イリノテカン(略称:CPT-11 商品名:カンプト、トポテシン)、シスプラチン(略称:CDDP 商品名:ランダ、ブリプラチン)、タキサン系薬剤のパクリタキセル(商品名:タキソール)とドセタキセル(商品名:タキソテール)、そしてテガフール・キメラシル・オテラシルカリウム配合(商品名: TS-1;ティーエスワン)が生存期間を延ばすことができるキードラッグであると考えられています。これらを組み合わせて抗ガン剤治療は行われます。
術後の再発防止で推奨されている抗癌剤が「TS-1」です。生存期間の延長が見られました。 2011年2月にカペシタビン(商品名:ゼローダ)が治癒切除不能な進行・再発の胃ガンに適応となりました。
2011年3月に分子標的薬のトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)がHER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃ガンに適応となりました。
年々、抗ガン剤の改良が進んできており、生存期間の延長がみられてきております。

一次化学療法

●HER2陰性の胃癌の場合

S1+CDDP(A)
Cape+CDDP(A)
S1+OHP(B)
Cape+OHP(B)
FOLFOX(B)

●HER2陽性の場合

Cape+CDDP+T-mab(A)
S1+CDDP+T-mab (B)

二次化学療法

wPTX+ラムシルマブ(A)(HER2発現に関わらず)

三次化学療法

ニボルマブ(A)
イリノテカン(B)

(条件付きで推奨される化学療法レジメン)

一次化学療法

●HER2陰性の場合

5FU+CDDP
5FU+LCV
5FU+LCV+PTX
S1
S1+DTX

●HER2陰性の場合

5FU+CDDP+T-mab
Cape+OHP+T-mab
S1+OHP+T-mab

二次化学療法

DTX
IRI
Nab-PTX毎週投与法
Nab-PTX+RAM
PTX毎週投与法
RAM

(2018年 胃癌治療ガイドライン)

おわりに

手術後は定期的に通院し、初めは3ヵ月毎に採血、レントゲン、超音波やCTなどの検査を行います。
手術後約2~3ヵ月ころに食事のあとで、お腹が痛くなったり、冷や汗が出たりすることがときどきあります。食事が一度に小腸に入ることによって起こり、ダンピング症候群とよばれています。
また、消化液が食道に逆流する逆流食道炎、貧血などが起きることがあります。術後は免疫力の低下で肺炎など感染症になりやすく、注意が必要です。膵臓を合併切除すると糖尿病の傾向が出る場合があります。
気になることがあれば、なんでも医師に相談してください。


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